ブラスフェマス2のボスキャラクター「塩の信心会 オドン」の解説ページです。登場マップや攻略ポイント、関連情報を掲載しているので、ゲーム世界を楽しむ参考にしてください。
ボス名
塩の信心会 オドン(しおのしんじんかい おどん)
ODÓN, DE LA HERMANDAD DE LA SAL
概要
「沈みし大聖堂」のボス。エヴィテルノが従える信心会の罪人です。巨大な斧槍をもち、鎧に身を包んだ戦士風の大男といった出で立ちをしています。「インクの海」では、オドンの攻撃パターンが制限された、いわゆる前哨戦の形式で戦闘を行います。
生前はなんらかの戦船の船長であり、船の沈没によってその命を落としていました。しかし奇蹟の導きのもと、部下たちとともに「沈みし大聖堂」の守護者として蘇ったことが伝承で語られています。彼らの体の表面は塩や海藻で覆われており、一度死を克服したがゆえに、死を恐れずに悔悟者へと襲いかかってくるのです。
攻略のポイント
オドンは「インクの海」での前哨戦と、「沈みし大聖堂」との決戦で、攻撃パターンが若干異なります。まず前哨戦では、斧槍による突きや払い、飛び上がって上空から落下し、波を発生させる攻撃などをしてきます。オドンの背後に回っても、振り返りざまに斧の払いと衝撃波を発生させてくるため、注意しておきましょう。
決戦バトルでは、上記のパターンに加え、雑魚エネミーである「首なし海兵」を召喚したり、彼らを守るシールドを生成するなど、集団的な攻撃を展開してきます。オドンの体力を削る度に、一どきに召喚される首なし海兵の数は増え、最初は2体ずつの召喚だったのが最大4体同時に召喚してきます。首なし海兵を放置しておくと悔悟者の回避がしにくくなるため、詩節「血流す奇蹟」でこまめに処理しておくのがオススメです。
オドンは首なし海兵を召喚したり、シールドを生成したりする間、天に斧槍を掲げてその場から動きません。タイミングを合わせて、聖歌「嫉妬の毒に贈るハベラ」の毒霧を多段ヒットさせることに成功すれば、大きくオドンの体力を削ることが可能となります。余裕があれば是非試してみてください。
元ネタ・考察
『ブラスフェマス2・アートブック』によると、「塩の信心会 オドン」のキャラクターデザインは、スペイン黄金時代に活躍した歴史上の軍人たちをインスピレーションの下敷きとしています。
一人目は「アンブロジオ・スピノラ」(Ambrosio Spinola, 1569 - 1630)。イタリア・ジェノバ共和国出身の貴族、傭兵(コンドッティエーレ)で、八十年戦争(フランドル戦争、オランダ独立戦争)でスペイン軍側として活躍した人物です。
スピノラの活躍で特に有名なのが、ブレダの包囲戦(1624-1625)です。スピノラはブレダを陥落させただけではなく、降伏した者たちの奮戦を讃えて彼らの安全を保証し、さらには武器や旗をもって街を去ることをも許したとされています。敵をも愛す「真のキリスト教的慈悲」とも称された、このスピノラの寛大な心を示した場面は、『ブレダの開城』というディエゴ・ベラスケスの絵画にも描かれています。
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ディエゴ・ベラスケス『ブレダの開城』(La rendición de Breda, Las lanzas) 城門の鍵を渡して降伏する場面。中央右で相手の肩に手をかけているのがスピノラ。 |
Tongda Decor
家の装飾ポスター ディエゴ ベラスケス ブレダの開城 キャンバス油絵プリントウォールアートオフィスリビングルームソファ壁画70x84cmフレームレス
Tongda Decor-YT21-08
ちなみに、ディエゴ・ベラスケスは「聖彫刻家 モンタネス」の元ネタとなった「フアン・マルティネス・モンタニェース」の肖像画なども描いています。
二人目は「ゴンサロ・フェルナンデス・デ・コルドバ」(Gonzalo Fernández de Córdoba, 1453-1515)。グラナダ戦争やイタリア戦争の指揮官として活躍したスペインの軍人で、ナポリ副王も務めた人物です。「エル・グラン・カピタン」(El Gran Capitá, 偉大なる指揮官)の異名で畏れられました。
特に有名な戦いが「チェリニョーラの戦い」(1503)です。ゴンサロはスペイン軍を率いてヌムール公ルイ・ダルマニャックの指揮するフランス軍と戦い、火縄銃を活用してこれを打ち破りました。このチェリニョーラの戦いは、ヨーロッパにおいて銃火器が勝負を決した最初の大規模戦闘として扱われ、ゴンサロや戦死したヌムール公をモチーフとした絵画も描かれています。
ホセ・カサード・デル・アリサール『ヌムール公の亡骸を見つめるグラン・カピタン』(1866) |
チェリニョーラの戦いはわずか1時間ほどで決着し、スペイン軍の死者は500人ほどでしたが、フランス軍の死者は2〜4000人に上ったとされています。戦闘後、同じキリスト教徒であるフランス兵の数多の遺体を見て心を動かされたコルドバは、史上初めて「祈祷の呼びかけ」(toque de oracion)を自軍に命じたと伝えられます。これは、戦死者を追悼するために、三度喇叭を奏で祈りを捧げる行為で、のちにヨーロッパの軍隊の習慣として広く浸透しました。
三人目は「サンチョ・ダビラ・イ・ダザ」(Sancho Dávila y Daza, 1523-1583)。スペインはアビラ出身の軍人で、イタリア戦争や、ロス・ヘルベスの戦い、八十年戦争、1580年のポルトガル継承危機など多くの戦いに参加しました。戦争の稲妻(Rayo de la Guerra)の異名でも知られています。
オドンのキャラクターは、彼ら偉大なスペイン軍の司令官の要素を組み合わせてデザインされているのでしょう。オドンがボス戦中に旗を掲げ、首無し海兵を使役してくるのは、まさに軍の司令官としての戦い方です。稲妻とともに首無し海兵を召喚するのは、サンチョ・ダビラの「戦争の稲妻」の異名を意識しているのかもしれません。スピノラやゴンサロが、キリスト教徒としての敬虔さ・慈悲深さを具えていたことも、信心会の信徒でありながら軍人でもあるオドンの人格を想像するポイントとなるように思われます。
また、オドンの鎧のデザインは当初、「カタコンベの聖人」の聖遺物を飾る鎧をベースにしていたとのこと。この遺体は14歳で殉教したとされる聖パンクラティウスに関連する聖遺物とも考えられています。
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カタコンベの聖人 |
煌めく黄金の鎧は、最終的なオドンの鎧のデザインとは対照的に絢爛豪華に飾り立てられています。ゲーム内のオドンの鎧デザインは、派手さはないものの重厚であり実用的、かつ幾度もの戦闘を乗り越えてきたことを感じさせるような威厳を醸し出しているので、デザイン変更は英断だったのではないでしょうか。
登場マップ
関連キャラ
- 罪人の父祖 エヴィテルノ…信心会の罪人たちを束ねるリーダー。
それではいつかまた、夢の向こう岸で……
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