メインストーリー解説・考察01_世界観と主要キャラクター紹介【ブラスフェマス】

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ブラスフェマスにおけるメインストーリーについて、連載形式で解説・考察をしています。このページでは、連載の第一回目として、ブラスフェマスの世界観の基本概念とメインストーリーの主要キャラクターたちについて解説しています。ストーリーに興味のある方、プレイ済みで振り返りたい方などの参考になれば幸いです。

巡礼の始まり 血の洗礼

概要

全般的な注意事項

本記事では、「ブラスフェマス(Blasphemous)」の難解かつ重層的なメインストーリーについて連載形式で整理し、基本的な世界観の概念に触れつつ、物語を時系列でまとめていきます。最終的に主人公である悔悟者がたどり着く3種のエンディングについても解説していきます。

一連の記事を読むことで、ゲームをプレイ済みの方はストーリーについてさらに理解が深まり、未プレイの方にも、ゲーム本編への興味を持っていただけると幸いです。

注意点として、下記の3点をご確認ください!

  • ネタバレあり
  • メインストーリーのみ(サブクエストは含まない)
  • 筆者の考察を含む(必ずしもゲーム本編ですべてが語られているわけではない)

一連の記事を通して、ブラスフェマス・ワールドの魅力を少しでもお伝えできればこれ以上の喜びはありません。

本記事のトピック

本記事では連載第1回目として下記の項目について解説しています。

  • ブラスフェマス(Blasphemous)の世界観
  • ブラスフェマス(Blasphemous)の主要キャラクター紹介
この記事を読むことで、ブラスフェマスのストーリーの基本的な部分について知ることができます。

ブラスフェマス(Blasphemous)の世界観

この項目では、ブラスフェマスの世界観を支える基本的な3つの概念・用語について解説しています。

  • クヴストディア(Cvstodia)
  • 「奇蹟」(Milagro)
  • 懺悔の剣(Mea Culpa)

クヴストディア(Cvstodia)

ブラスフェマスの舞台は「クヴストディア」(Cvstodia)と呼ばれるダークなファンタジー世界です。

クヴストディア(CVSTODIA)の全域図
クヴストディア(CVSTODIA)の全域図

クヴストディアは、中世ヨーロッパの雰囲気を纏っており、特に南スペインはアンダルシア地方の風土色が強くモチーフとして取り入れられています。※開発元のGame Kitchenがスペインの会社という背景もあります。

キリスト教カトリックを彷彿させるような要素が世界観の根幹にあり、「修道院」や「大聖堂」などが主要な探索エリアとなっています。また、「祈祷台」や「ステンドグラス」などの宗教的装飾物が多く描かれ、「ロザリオ」や「聖遺物」など信仰に関連するアイテムを装備してプレイヤーキャラの性能を強化できるのも特徴的です。

クヴストディアの人々は、信仰によって結びついた共同体・組織を形成しています。信仰の象徴である教皇を戴く「聖母教会」(聖下 エスクリバー)は最も巨大、かつ支配的な地位を築いており、教皇を護衛する名目の「聖別軍」(クリサンタエズドラス)という軍事力も有しています。

聖母教会以外にも、宗派・分派的な小規模組織はいくつかあり、主人公である悔悟者が属している「黙する悲哀の兄弟団」、傷病人を手当する慈善活動を行っている「口付けの廉施者」(ティルソ)、裸足の巡礼者である「導師」を崇拝する「拝跪の教団」(レデント)、散逸した遺体を神聖に埋葬する「真聖遺物教団」(ルウドヴィコクレファス)などが作中で登場します。

「奇蹟」(Milagro)

クヴストディアで生きる人々は「奇蹟」(Milagro、きせき)と呼ばれる超常現象に翻弄されています。

クヴストディアで「奇蹟」に翻弄される人々
クヴストディアで「奇蹟」に翻弄される人々

「奇蹟」は人々の信仰心や罪悪感に呼応して発生する人智を超えた現象です。ときに奇蹟は、病人や怪我人をたちどころに癒してしまう「祝福」や「恩寵」として与えられますが、その一方で、内心の罪悪感を具現化させられた人々が異形の怪物へと変化してしまうなど、「災厄」や「天罰」という形でももたらされます。

人々が決してその原理を理解し紐解くことのできない「奇蹟」は、「神の意志」の具現化として恐れられています。また同時に、自らが恩寵や災厄にいつ見舞われるかもわからない不安な状態の人々にあっては、「奇蹟」に対する畏れ・信仰こそがクヴストディアで生きる拠り所となってもいるのです。

クヴストディアの歴史上、「第一の奇蹟」をその身に受けた若き男性は、計り知れない自責の念と罪悪感から自らへの罰を望みました。天に祈りを捧げると、彼の手足は樹木の根と一体化して伸び続け、一本の丸太へと絡みつきます。その際にも彼は痛みに苦しむうめき声や悲鳴も吐かず、「我が」「大いなる」「罪よ」の三語を残し息絶えました(「三語の結び目」)。

「歪んだ者」のシンボルマーク
「歪んだ者」のシンボルマーク

以降、その男性は「歪んだ者」(父なる神)として、「奇蹟」とともに信仰の対象となりました。ブラスフェマスに幾度となく登場する数字の8の字のような記号は、後ろ手、後ろ足に身体がねじれた「歪んだ者」を表現したシンボルマークなのです。

懺悔の剣(Mea Culpa)

懺悔の剣(Mea Culpa、ざんげのけん)は、ブラスフェマスの主人公である悔悟者が手にしている長剣です。懺悔の剣は単なる武器ではなく、「奇蹟」の産物を破壊することができる特異な力を有しています。

通常、「奇蹟」によって生じた現象の結果は不可逆で、人の手で変化を加えることはできません。しかし懺悔の剣であれば、「奇蹟」によって生み出された異形の怪物を討ち滅ぼすことができます。内なる罪悪感を具現化され異形となった人々を元に戻すことこそ叶いませんが、その苦しみに終止符を打ち、魂を解放することができるのです。悔悟者が懺悔の剣を振るって怪物たちを討滅するのは、単なる暴力的な排除ではなく、「災厄なりし奇蹟」によって永遠に苦しみ続ける人々に対する慈悲、救済という側面があるのです

ただし、前述の通り「奇蹟」はクヴストディアでは信仰の対象であり、その神聖な現象の結果を破壊するのは、特に奇蹟を神聖視する「聖母教会」にとって許されざる「冒涜的」な行為でもあります。「ブラスフェマス」(Blasphemous)とは「冒涜的」を意味する言葉ですが、「奇蹟に対する悔悟者の冒涜」も含意されているのでしょう

懺悔の剣が生まれた経緯は、ブラスフェマスのオープニングムービーで描かれています。罪悪感に苛まれていたある女性が、罰を乞い、自らの胸に幾度も打ち付けていた「歪んだ者」(父なる神)を象った彫像から、突如として刀身が生えて産まれました。女性は懺悔の剣に胸を貫かれ、そのまま石化しています。悔悟者は女性の石化像から刀身を引き抜くことで、懺悔の剣をその手にしたのです。

懺悔の剣を引き抜く悔悟者
懺悔の剣を引き抜く悔悟者

「第一の奇蹟」である「歪んだ者」(父なる神)を象った剣が、ほかの「奇蹟」を討ち滅ぼす力を有しているというのはなんとも皮肉ですが、原初の存在が後の派生に根源的な影響を及ぼしうるという考えにも大きな説得力があります。

ブラスフェマス(Blasphemous)の主要キャラクター紹介

この項目では、ブラスフェマスのメインストーリーの中核を担う5名の主要キャラクター達を紹介しています。

  • 悔悟者
  • デオグラシアス
  • 聖別軍 エズドラス
  • 拘束の苦悶 クリサンタ
  • 聖下 エスクリバー

悔悟者

悔悟者(かいごしゃ)はブラスフェマスのプレイヤーキャラクターであり、物語の主人公となる人物です。円錐形の兜と無表情なマスクを被り、懺悔の剣を手にして「奇蹟」の異形を討ち滅ぼしながらクヴストディアを巡る巡礼者です。

主人公:悔悟者
主人公:悔悟者

「悔悟者」(penitente)という名称は、自らの罪を悔い、贖罪や償いのための修業をする人を指す言葉で、特定の人物を指す固有名詞ではありません。しかし、悔悟者の人名は作中では明かされないため、ブラスフェマスにおける「悔悟者」は基本的にプレイヤーである彼のことを指します。

悔悟者は自らの罪を償うために「沈黙の贖罪」を実践しており、作中で彼が言葉を発することは一度もありません(文章を書くこともない)。そのため、果たして彼はどのような罪を犯したのか、いかにして贖罪を求めるようになったのか、なぜ懺悔の剣をその手に「奇蹟」を滅ぼすべく巡礼を始めたのか……それらの一切は語られず、大いなる謎としてプレイヤー各々の想像に委ねられています。

悔悟者は「歪んだ者」を信奉する「『黙する悲哀』兄弟団」という修道会に属していますが、物語開始時点で兄弟団の同胞たちは悔悟者を残して全員が「聖別軍」に虐殺されています。悔悟者と同型の兜を被った同胞たちの遺骸の山のなかで、同じように倒れていた悔悟者が立ち上がるところから、ブラスフェマスの物語と彼の巡礼はスタートするのです。

デオグラシアス

デオグラシアスは深緑の頭巾を被り、顔面と体を荒縄で覆った大男です。「災厄なりし奇蹟」の証人であり、「沈黙」を贖罪とした悔悟者とは対照的に、「奇蹟」の御業を「語る」ことを贖罪とする罪人です。

「奇蹟」の語り手:デオグラシアス
「奇蹟」の語り手:デオグラシアス

ストーリーの要所要所で登場しては巡礼の行先を示してくれるデオグラシアスは、悔悟者の巡礼の導き手・案内役のような役割を果たしてくれます。彼が初邂逅時に悔悟者に渡してくれる「棘」は、懺悔の剣の柄にはめ込み、悔悟者の血を吸うことで茨を伸ばし成長していくもので、エンディング分岐に関わる象徴的なキーアイテムとなっています。

デオグラシアスの個別解説は、下記をご参考ください!

また、デオグラシアスは、ブラスフェマスのすべての分岐エンディングにおいて、悔悟者の巡礼の終着を見届ける唯一のキャラクターでもあります。

聖別軍 エズドラス

聖別軍 エズドラスは、「聖母教会」の教皇「聖下 エスクリバ―」を護衛する「聖別軍」に所属する男性兵士です。頭頂部を剃り上げ、鎧に聖別された赤い布を巻き付けた出で立ちをしています。

中盤の強敵:聖別軍 エズドラス
中盤の強敵:聖別軍 エズドラス

巡礼の前半、「3つの屈辱」を果たすためにクヴストディア各地を巡る悔悟者を、クリサンタの命で追跡・監視し、3つの聖傷を集めた悔悟者を「三試練の橋」で迎え撃ってきます。武器は身の丈よりも柄の長い槌で、地面に打ち付けたり振り回したりすることで稲妻・電撃を生み出してくる強敵です。

エズドラスには、ともに聖別軍に所属していたペルペチュアという妹がいますが、作中では彼女はすでに故人となっています。しかし兄妹の深い絆と「奇蹟」の力によってペルペチュアの霊魂は兄エズドラスに語りかけることができ、エズドラスが独り言を言っているように見えるのは妹と会話をしているためなのです。

エズドラス、およびペルペチュアの個別解説は下記の記事などもご参考ください!


エズドラスは通常ルートでは悔悟者の敵として立ちはだかりますが、真エンドルートの分岐では悔悟者との衝突が回避され、キーアイテムを悔悟者へと託す展開になるなど立ち位置が大きく変わります。

拘束の苦悶 クリサンタ

拘束の苦悶 クリサンタは黄金の甲冑に身を包み、真紅の剣を振るう長身の女性です。「聖母教会」の信仰の象徴的トップである教皇「聖下 エスクリバ―」を護衛する「聖別軍」のリーダーを務め、聖別軍 エズドラスの上官にあたります。

悔悟者のライバル:拘束の苦悶 クリサンタ

悔悟者のライバル的存在で、「沈黙」を守る悔悟者とは対照的に、クリサンタの仮面は両目が覆われた「盲目的な信仰心」を象徴する意匠が施されています。また、ブラスフェマスゲーム本編の前日譚を描いたコミック『THE KNEELING』において、悔悟者を切り裂き、「『黙する悲哀』兄弟団」の遺体の山にその身を投げ込んだ張本人でもあります。

物語終盤、聖下 エスクリバーの待つ「教皇の回廊」へと迫った悔悟者の前に立ちふさがり、「奇蹟」への冒涜を断罪するために刃を向けてきます。クリサンタの個別解説は下記の記事などもご参考ください!

クリサンタは基本的にはストーリーの強力なボス敵として立ちふさがりますが、一部のエンディング分岐ルートでは物語のキーパーソンとして、異なる役割を果たします。

聖下 エスクリバー

聖下 エスクリバーは、クヴストディアを宗教的に支配する「聖母教会」のトップである教皇です。壮麗な教皇服を身に纏い、黄金の剣を携えた赤い肌の老人という容姿をしています。

聖母教会のトップ:聖下 エスクリバー
聖母教会のトップでラスボス:聖下 エスクリバー

「奇蹟」の守護者を自称しており、懺悔の剣で「奇蹟」とその現象を滅ぼし冒涜する悔悟者を粛清するよう「聖別軍」のクリサンタに命じます。悔悟者と直接的に邂逅するのは物語の最終局面ですが、悔悟者が巡礼の障害を乗り越える際に、たびたび「夢」の中から念話で語りかけてきた人物です。

本作のいわゆるラスボスであり、「災厄なりし奇蹟」が産み落とした「奇蹟の末子として目覚め、悔悟者の巡礼の最後の障害となります。エスクリバーを討ち滅ぼし、「最大の冒涜」(SUMMA BLASPHEMIA)を成し遂げることで悔悟者の贖罪の終点へと辿り着くことができるのです。

エスクリバーの個別解説は下記の記事をご参照ください。

エスクリバーは真エンドルートでも変わらずラスボスとして立ちふさがりますが、そのルートのみで戦うことのできる新たな形態を披露してくれます。

その他の登場キャラ・ボス

その他、ブラスフェマス作中に登場するNPCやボスキャラクター一覧は下記の記事にまとめているので、ご興味があればぜひご覧ください。

メインストーリーに絡まずとも、サブクエストやDLCに登場する魅力的なキャラが目白押しです!

解説の続き

本解説の続きの記事は序章:巡礼の始まりとなっています。

よろしければぜひご覧ください!

それではいつかまた、夢の向こう岸で…。

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