このページではBlasphemousⅡ(ブラスフェマス2)におけるメインストーリーについてネタバレありの解説・考察をしています。ストーリーに興味のある方、プレイ済みで振り返りたい方などの参考になれば幸いです。
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おことわり
本記事ではブラスフェマス、ブラスフェマス2の重大なネタバレを含みます。未プレイの方の閲覧はご注意ください。
ブラスフェマスの魅力は、ビジュアルアートやBGMなどの特有の雰囲気にも溢れています。ご自身でゲームをプレイしてゲームのストーリーをプレイすることが、最もその魅力を体感する方法であることは間違いないでしょう。
ブラスフェマスは必ずしもストーリー要素が明文化されているわけではありません。断片的なゲーム内要素・テキストから解釈想像していくのも楽しみの1つです。そのため、本記事には筆者の考察・解釈が含まれている点にはご留意ください。
また、本記事ではBlasphemousⅡのメインストーリーについてのみ解説しています。サブクエスト系のストーリー・NPCについては割愛するため、ご注意ください。
前作(ブラスフェマス)のラスト
まずは前作のラスト(真エンディング)からのおさらいです。
災厄なりし奇蹟が蔓延したクヴストディア。奇蹟を討ち滅ぼすために、悔悟者は冒涜の巡礼へと赴きます。
そしてついに、奇蹟の末子・エスクリバーを打倒し、「最大の冒涜」を成し遂げます。
その勢いのまま「災厄なりし奇蹟」の元凶である「天の意志」をも撃滅。「天の意志」は悔悟者に永劫の呪いをかけ、断末魔の叫びをあげて消滅します。
これまで数多の奇蹟を葬ってきた「懺悔の剣」(ミア・カルパ)もその役目を終え、刀身がボロボロに風化して消えてしまいます。
それは同時に、悔悟者の贖罪の終結をも意味していました。すでに息絶えた悔悟者の躯を抱き進むクリサンタとデオグラシアス。
しかし、エンドロールムービーのラストに不穏な映像が。奇蹟の元凶を滅ぼしたはずのクヴストディアの空に、巨大な心臓が出現したのです。
不穏な影を落としたまま、Blasphemousは一旦幕をおろします。まさにこの続きから、BlasphemousⅡの物語が始まるのです。
オープニング
クリサンタの死と新たなる敵
ブラスフェマス2は、前作のライバル、クリサンタの敗北と自刃という衝撃的なムービーから始まります。

クリサンタを打倒したのは、悔悟者と同型の仮面(カピロテ)を着装していた、緑衣で長髪の老男性。
彼は玉座へと腰掛け、悔悟者の到来を待つ宣言をします。前作のラスボス、聖下エスクリバーにも劣らない強大な敵の登場を予感させます。
男の独白の終わりとともに、「聖なる御名の街」が3体の巨大な彫像によって上空へと持ち上げられます。さらにその上空には巨大な脈打つ心臓が。
これこそまさに前作のエンドロール後に描写されていた心臓であり、災厄なりし奇蹟の再来が告げられたのです。
悔悟者の目覚め
場面変わって、何かに縋るように伸ばされた幾つもの手、そして石像のように固まったデオグラシアスが映し出されます。
彼の抱える棺の中から立ち上がるのは、無表情の鉄仮面を装着した男、前作の主人公であり今作でもまた奇蹟へと立ち向かう巡礼者、我らが悔悟者です。
前作の真エンディングで眠りについた彼ですが、奇蹟が蘇るのであればいつまでも眠ってはいられない。
前作で悔悟者を導いてくれたデオグラシアスも、強敵ではあれど最終的には頼もしい味方となったクリサンタも今は亡き者とされています。なかなかにハードなスタートと言えるでしょう。しかし、前作プレイヤーからしてみると、悔悟者の最期を見届けてくれた二人の死のあとだからこそ、奮起して巡礼に臨みたくもあるのです。
彼らの想いは、それぞれ「導く者」「クリサンタ」の彫像の伝承に刻まれています。彫像についてまとめた記事は「寵愛の背障・彫像まとめ【Blasphemous Ⅱ】」を御覧ください。
「忘却」を乗り越えて
悔悟者の唯一無二の武器だった懺悔の剣は、前作真エンディングで塵と消えました。今作では3つの武器を駆使して巡礼を進めることになります。武器システムについては「武器システムまとめ」で解説しているため、ご興味があればどうぞ。
新たなる武器を手にした悔悟者が進むと、「忘却を彫る者 『無貌』」が襲いかかってきます。いわゆるチュートリアルボスですね(前作の「黙する悲哀の番人」と同じ立ち位置)。
なぜ『無貌』が襲いかかってきたのかについては、悔悟者ともども両者沈黙を貫いているため想像するほかはありません。
蘇った悔悟者を即座に始末するために、「災厄なりし奇蹟が放った刺客」と単純に捉えられなくもないですが、それよりはむしろ「忘却」と戦うことが、悔悟者の蘇生に関わる儀式的な意味合いを含んでいるのかもしれません。
例えば一度死を経験したが故の悔悟者自身の忘却を乗り越えるため(生前の記憶を失うということはいかにもありそう)。あるいは悔悟者に対する周囲の忘却(「天の意志」が悔悟者にかけた永遠に忘却される呪い)を克服するため。さらには、チュートリアル戦闘を通してプレイヤーが忘却していた「戦闘感」を思い出すためなのかもしれません(メタ的な視点ですが)。
前作のチュートリアルボス「黙する悲哀の番人」を打倒すると、悔悟者はその迸る血液を頭から被ります。この行為も、悔悟者自身が生まれ変わるための「洗礼」的意味合いがあったとすれば、アナロジー的に理解できるのではないでしょうか。
いずれにせよ、「忘却」を乗り越えることで、本当の意味で悔悟者は悔悟者として蘇る事ができたのです。
アヌンシアダとの邂逅
『無貌』を打倒した悔悟者の前に現れたのは聖なる装いの女性アヌンシアダ。
彼女は「聖なるもののすべての起源にして座である天高き山脈」から悔悟者を導くために降り立ったのだと言います。この言葉通り、彼女はゲーム進行の節目に登場しては悔悟者の行く先を指し示します(ゲーム上の立ち位置としては前作のデオグラシアスに類似しています)。
アヌンシアダは悔悟者に、奇蹟が残した天空の心臓の生誕を止めるよう告げます。しかし心臓は天空高く、その直下の教会堂も3体の巨像に持ち上げられ、地上から赴くことができません。
さらに奇蹟は、心臓を守るための番人として「大信心会」の罪人たちを召喚し、悔悟者を迎え撃つ準備を整えているというのです。
「繍匠の信心会のオロスピナ」(左)
「終わりなき祈願の信心会のベネディクタ」(左奥)
「塩の信心会のオドン」(中央奥)
「清廉なる肉体の信心会のレスメス」(右)
そして彼らを束ねる「罪人の父祖 エヴィテルノ」(中央手前)
エヴィテルノはオープニングでクリサンタを打倒した人物です。彼らはいずれも罪人であるため、悔悟者と同様、天を衝くような「カピロテ型」の被り物をしています。「毒をもって毒を制す」ではないですが、罪人をぶつけることで罪人である悔悟者を克服しようとする奇蹟の意図が感じられます。
まずは上空に掲げられた教会堂へと向かうため、奇蹟が覆い隠した「3つの後悔の念」を暴く必要があり、そのためには、奇蹟が配置した守護者を打倒しなければならないと説くアヌンシアダ。守護者の位置をマップ上に指し示してくれます。
こうして巡礼の前半戦、「3つの後悔の念を暴く」旅路が始まるのです。
3つの後悔を暴く
3人の守護者
「3つの後悔の念」の守護者は下記の3人です。
「刺繍の館」で待ち受ける「繍匠の信心会のオロスピナ」。
「連塔の冠」の頂きに立つ「清廉なる肉体の信心会のレスメス」。
ラダメスはアヌンシアダに名前を挙げられていませんでしたが、立場としては罪の告白を聴く聴罪師であるため、単にエヴィテルノが従える贖罪者側のメンバーではないということでしょう。奇蹟が選定した聖者であることは間違いありません。
彼らを打倒するたび、悔悟者は「香煙漂う夢」のなかで、守護者が秘匿していた「後悔の念」を目の当たりにすることとなります。先程まで死闘を演じていた強敵が、雰囲気をガラリと変えて、死出の旅立ちの直前、穏やかに告解をするような演出は、声優の演技も相まって非常に魅力的です。
ちなみにゲーム進行上は、3人の守護者を倒す順序は自由です。どの守護者から倒しても、語られる後悔の念の順序が変わることはありません。
1つ目の後悔
1つ目の後悔が暴かれたことにより、「高名なる父の彫像」が天より降り、教会堂が街へと近づきます。
2つ目の後悔
3つ目の後悔
3つ目の後悔では、夫婦の間に生まれた子について語られます。奇蹟への祈りを介した妊娠は、「歪んだ祝福」を授ける生誕と成り果てたのです。
生まれた子は赤子ではなく、黒い羽を有した青年でした。さらに、周囲に伝染病の如く歪んだ奇蹟が振りまかれ、世界中を呪いとして覆ってしまいます。罪咎に苦しみ、奇蹟に祈り、歪んだ恩寵を授けられまた苦しむ負のサイクルの苦界…クヴストディアの再来です。
「後悔」とは、奇蹟を介して妊娠の祈りを捧げてしまった「父」と「母」の後悔、そして自らの誕生とともに呪いを蔓延させてしまった「子」の後悔ではないかと思われます。あるいは生誕を「失敗」してしまった奇蹟の後悔が含まれるのかもしれません。
Blasphemous作中の時系列が明示的ではないため定かではありませんが、おそらくこの物語は悔悟者が奇蹟の元凶を討ったあとのエピソードと思われます。そのため、かつてないほど弱まっていた奇蹟が夫婦の祈りを利用して復活し、かつ完璧には復活しきれずに「失敗」したことが語られているのでしょう。
奇蹟の狙いについては、奇蹟そのものが歪んでいるためにこれも推測となりますが、あくまでも本命は自らの復活、天空の心臓からの奇蹟の代行者の生誕でしょう。その生誕の準備段階として、夫婦の生誕への祈りを自らの再誕への祈りへと転嫁させ、生まれる子にも聖性を授けたかったものと思われます。キリスト教的な観点では、「救世主」の誕生にはそれを予言する「預言者」の存在が必要です。夫婦の間に授けられた子も、奇蹟とその代行者の再誕を予言する役割が期待されていたのかもしれません。結果的に彼は「目撃者」として奇蹟の御業を悔悟者へと証言する役回りが与えられます。
掲揚されし教会堂への道が開く
これで3つの後悔の念すべてが暴かれました。「目撃者の反彫像」が天より降り、教会堂を持ち上げていた3体の巨像(父と母と子)がみな膝を折ることで、地上との行き来が可能となります。
奇蹟の心臓との距離は縮まりましたが、巡礼はまだ前半戦。疑念に惑わされることなく、巡礼の歩みを粛々と進めていかなければなりません。
5羽の鳩を解放する
上るためには下る必要がある
掲揚されし教会堂を昇り始めた悔悟者ですが、アヌンシアダが現れ、まずは下に向かう必要があると告げられます。
「悔恨の奈落」の地下、前作から長い時の経過を感じさせる廃墟となった「万母の母」を越えて、クヴストディアの最下層である「聖なる母の御許」へと辿り着く悔悟者。
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「万母の母」には「三語の結び目」の残骸も残されている |
そこには数多の剣・武器に囲まれたボス敵「研磨の衛兵 アフィラオル」が。使う者もいない武器を延々と研磨し続ける彼の意図は不明ですが、襲いかかってくるのでは打倒する他ありません。終わりなき研磨が贖罪という線もなくはなさそうですが、あくまでも衛兵なので、奇蹟あるいは過去のエスクリバーに命じられてこのエリアを守り続けていたのかもしれません。
「目撃者」との邂逅
アフィラオルを打倒すると、悔悟者は異空間へと転移します。そこには、3つの後悔の最後に存在が明かされた「目撃者」がいました。
黄金の檻を開くには、「盗まれた鍵」を取り戻さねばならず、それぞれを強大な敵が隠し持っているのです。
ここからがゲーム後半のスタートとなります。前半と異なり、ボスを倒して鍵を1つ取得するたびに次のエリアが解放されるという仕様のため、攻略の順序は固定となっています。
籠を開く5つの鍵
1つ目の「巡礼者の鍵」は、「研磨の衛兵アフィラオル」を倒したあとに「五鳩の礼拝堂」で巡礼者から受け取ることができます。
2つ目の「終わりなき祈願の鍵」は、「蜃気楼の聖塔」で祈り続ける「終わりなき祈願者 ベネディクタ」を倒すことで入手が可能です。
3つ目の「塩の鍵」は、「沈みし大聖堂」を守護する「塩の信心会 オドン」を葬ることで取得。
4つ目の「諮問会の鍵」は、「切断されし反塔」で歌う「万声の賛美歌 シノド」から取り返すことに。
5つ目の「鏡写しの鍵」は、「対なる双月」の「美麗なる聖女 スゾナ」から奪い返すことができます。
強大なる「信心会」の罪人もその全てを退け、残るは首魁のエヴィテルノのみとなりました。
「目撃者」の証言
鍵を1つずつ取り返す度に、「目撃者」の証言が少しずつ明かされていきます。ここでまとめて振り返っておきましょう。
奇蹟の目的は、自らの化身たる新たな偶像の創造でした。天空に出現した心臓は、いわばその偶像が生誕するための母体といったところでしょう。
しかし奇蹟の力は弱まっていたため、その力は病や苦しみといった形でしか具現化されず、偶像の創造には失敗してしまいます。そこで奇蹟が目をつけたのが人々の純粋なる「信仰心」でした。
誰もが仰ぎ見る天空に心臓を出現させたのは、人々の信仰心を一点に集めることで、幻想を現実に変える自らの力を復活させる狙いがあったのです。同時にそれは奇蹟にとっての「最後のチャンス」とも呼べるものでした。
すべての証言を終えると、「目撃者」は悔悟者に別れを告げます。その生誕から奇蹟の思惑によって歪められてしまった彼は、死後にまで続いた最後の役目を終え「光と虚無の間の宿」へと向かうのです。あるいは、彼こそが奇蹟の牢獄に囚われていた最後の「鳩」であったのかもしれません。
教会堂の扉が開く
礼拝堂で祈りを捧げていた人々は、目撃者の黄金棺が砕かれた影響からか、皆倒れ伏していました。扉の先は、天空の心臓から漏れ出した血液が降り注ぐラストステージ「真紅の雨」です。
悔悟者の巡礼が終わりへと近づいています。
エヴィテルノとの死闘
原初の悔悟者
邦訳では「罪人の父祖」であるエヴィテルノですが、スペイン語では「Padre de los Penitentes」、すなわち「悔悟者たちの父祖」であるわけです。「第一の悔悟者」であるエヴィテルノが、プレイヤーキャラクターである悔悟者を滅ぼし、「最後の悔悟者」とするべく襲いかかってきます。
ことここに至っては、罪人同士、贖罪への意志のぶつかり合いです。瞬間移動を繰り返し、強力な魔法攻撃を重ねてくるエヴィテルノ。気を引き締めて戦いましょう。
これは、前作で「最初の奇蹟」である「父なる神」を象った「懺悔の剣」(ミア・カルパ)でもって、「奇蹟の末子 エスクリバー」を葬った悔悟者へのアンチテーゼとして意識的な人選と言えるでしょう。奇蹟を打倒するためにクヴストディアの世界を駆け回るのが贖罪である悔悟者に対し、相反する「ひたすら待ち続けることが贖罪」であることからも、エヴィテルノが悔悟者の対極に配置された存在であることは明白です。
最後の冒涜者との決着
「罪人の父祖 エヴィテルノ」の体力を削り切ると、エヴィテルノはクリサンタの遺体から深紅の剣を引き抜き、「我が贖罪はまだまだ終わらぬ!」とさらなる戦いを仕掛けてきます。ゲーム的に言えば第2形態、「最後の冒涜者 エヴィテルノ」との戦いです。
しかしエヴィテルノにとどめを刺した瞬間、天空の心臓が破け、ほとばしる血液とともに「信仰の化身」が誕生します。奇蹟が召喚した守護者たる罪人たちは全て打倒したものの、アヌンシアダに布告されていた生誕を止めることはできませんでした。
これは単に時間を稼がれてしまった帰結ととらえることもできます。しかし、エヴィテルノの命を奪った瞬間に心臓の殻が破られたことから、「悔悟者の死」が「信仰の化身」誕生のためのトリガーであった可能性も指摘しておきたいと思います。奇蹟にしてみれば、自らの象徴たる偶像が無事に生誕したとして、それを害しにくるであろう悔悟者の存在と対策を意識せずにはおけなかったでしょう。そこで、「悔悟者の死」=「信仰の化身の生誕」と定めてしまえば、安全に生誕させることが可能である、と考えたのではないでしょうか。
しかしここで命を失ったのはプレイヤーの悔悟者ではなく、原初の罪人エヴィテルノ。このズレが生じた理由は、エヴィテルノ自身の行動にあります。「罪人の父祖」として悔悟者の前に立ちふさがったエヴィテルノは、追い詰められたことでクリサンタから深紅の剣を引き抜き、「最後の冒涜者」となりました。これは、前作ブラスフェマスにて悔悟者が懺悔の剣を引き抜いた時の行動と酷似しています。
この行動が、エヴィテルノ自身に「悔悟者」の役回りを再現させることとなりました。本来は「罪人の父祖」であるエヴィテルノは悔悟者を「最後の悔悟者」として滅ぼすはずでした。しかしこの行動によってエヴィテルノ自らが滅ぼされる「最後の冒涜者」となってしまい、「エヴィテルノの死」=「悔悟者の死」という象徴的なエラーを引き起こす要因となってしまったのではないでしょうか。だとすると、最期に自らの心臓に剣を突き立てたクリサンタの行動は、奇蹟のもたらした運命の悪戯によって、悔悟者へのこれ以上ない支援となっていたのです。
最後の贖罪
信仰の化身の生誕
エヴィテルノの死とともに誕生した信仰の化身。溢れんばかりの大量の血液から身を起こした彼の頭の後ろには光輪が浮かび上がります。まさしく彼は「聖なるもの」として奇蹟から生を受けたのです。
「なぜ?」という問いに答えが得られるものではないというのが、ブラスフェマスの贖罪と巡礼を通底する観念であるように思われます。悔悟者が沈黙の贖罪を己に課しているのも、罪業に対する救いの解答など容易に言語化できないことを深く思い知っているからではないでしょうか。しかし心の奥深くに根を張る贖罪への衝動のまま、剣を振るうことしか許されていないのです。この哀れなる生誕を目の前にしても、信仰の化身に答えを与えることはできない。ただ自らの贖罪をひたすらに果たすのみです。悔悟者の贖罪の終着点、全力で戦いましょう。
Bエンド(ノーマルエンド)
この項目ではブラスフェマス2のBエンド、いわゆるノーマルエンドについて記載しています。
第二詩篇の幕開け
信仰の化身を討ち果たし、「最大の冒涜」を成し遂げた悔悟者。これにて二度目の巡礼も完結したかと思われました。
しかし、倒されたはずなのに得心したようにこちらに語りかけてくる信仰の化身。
「私はすべてを理解しました――故に感謝します」
奇蹟の目論見通り、信仰の化身が偶像へと昇華し、かつ宿敵である悔悟者をも取り込んでしまった結末。ノーマルエンドと書いていますが、プレイヤー目線ではバッドエンドにほかならないでしょう。
このエンドを見ると、信仰の化身が生まれた意味を理解できないほどに「欠けたまま」誕生したのも、彼自身のみでは偶像としては完成せず、悔悟者との戦闘・合一でもって完成するように設計されていたからとも読み取れます。
奇蹟の狙いが悔悟者の存在をも信仰の化身の完成に組み込むことだとしたら、前述の悔悟者の死を生誕のトリガーにしていたのでないか、という考察と一見矛盾します。しかし、悔悟者がエヴィテルノに打倒されたのなら、単純に悔悟者の代わりにエヴィテルノを信仰の化身と合一させる予定だったのかもしれません。いずれにせよ、悔悟者への対策が「隙を生じぬ2段構えだった」と解釈すれば、特に矛盾はないと言えるのではないでしょうか。
しかしこれでは結果的にすべて奇蹟の思惑通りとなってしまった形。悔悟者の長く苦しい巡礼への報いとしては相応しくありません。より良い結末へと向けて、プレイヤーは巡礼を再開することになります。
可能であれば自身の目で探索してほしいですが、トゥルーエンドの結末を知りたい場合は、後続の項目をご覧ください。
Aエンド(トゥルーエンド)
この項目ではブラスフェマス2のAエンド、いわゆるトゥルーエンドについて記載しています。
四使節の香球
「四使節」に該当する4体の彫像(「グレガル」「レベッチェ」「ハロック」「シエルゾ」)の伝承には、奇蹟が天の心臓を創造するために利用した、純粋なる少年の信仰心についての物語が記されています。「目撃者」の証言だけでなく、「母」の扉の文言だけでもなく、「父」の扉の文言を越えて、奇蹟の秘匿をすべて明らかにするという過程が必要だったのでしょう。
真の決着
唐突に到来した死を、「自らの生という謎と和解するため」に受け入れる姿には心打たれるものがあります。人間の信仰心によって生み出された信仰の化身も、奇蹟と罪過に苦しむ人間たちも、そう違いはなかったのかもしれません。
天へと登る悔悟者
偶像が滅び、今度こそ本当に「災厄なりし奇蹟は終わりを迎えた」、と声は語りかけてきます。贖罪をやり遂げた悔悟者を、アヌンシアダや四使節、また前作で登場したキャラクターたちが迎えます(デオグラシアスやエズドラス・ペルペチュア兄妹の姿も)。
悔悟者自身がそう望んだ結末かは定かではありませんが、奇蹟と贖罪を巡る殉教的な物語の締めくくりとしては、これ以上ない大団円なのではないでしょうか。個人的には、前作ブラスフェマスの真エンディングのほうが好みではありますが、長い戦いを続けてきた悔悟者を労うには、これくらいの報いがあっても良いだろうという感覚なので、納得できるハッピーエンドだと思います。
おわりに
次回作への布石?
これは、クリサンタが自らの胸を刺し、エヴィテルノが武器として用いた深紅の剣に巻き付いていた布の一条なのでしょうか? またその一切れが残っていたことで、今後どのような展開が待っているのでしょうか?
思い起こされるのは「深紅の拘束が始めた物語は深紅の拘束で以て終わらせよう」というエヴィテルノの発言です。直接的に解釈すれば、クリサンタが深紅の剣で自刃したことで始まった物語を、その剣で悔悟者を打倒することで終わらせようという意図だったと読み取れます。しかしプレイヤーが把握していない範囲で、ブラスフェマス2の物語開始以前に「深紅の拘束」に関わるなにかがあったのだとすれば、その物語は決着しきれていないことになります。
2024年1月末時点の現在ではそれ以上の想像・考察を広げるための材料がなく、今後のブラスフェマス2追加コンテンツや、将来的な続編への布石であることに期待したいところです。
結び
以上で、ブラスフェマス2のメインストーリー解説・考察記事は締めくくりとなります。
ブラスフェマス2は上記のメインストーリー以外のサブストーリー・サブクエストにも味わい深いものが多く、ぜひ多くの人が直に触って楽しんでほしいと思っています。
本記事が既プレイヤーの参考になったり、未プレイの方がブラスフェマス・ブラスフェマス2をプレイする助けとなっていれば幸いです。
それでは良い贖罪を。
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