ブラスフェマス2のボスキャラクター「清廉なる聖具守 レスメス」、「眠れる赤子」の解説ページです。登場マップや攻略ポイントまたキャラクターデザインの元ネタである「聖骨箱」や考察情報などを掲載しているので、ゲーム世界を楽しむ参考にしてください!
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「私は生きている――かつての我が肉体を象ったこの檻の中で」 |
ボス名
清廉なる聖具守 レスメス(せいれんなるせいぐもり れすめす)
LESMES, SACRISTÁN INCORRUPTO
眠れる赤子(ねむれるあかご)
INFANTA DURMIENTE
概要
「連塔の冠」のボス。エヴィテルノが従える信心会の罪人で、「清廉なる肉体の信心会」に属しています。また、奇蹟が「3つの後悔の念」を秘匿するために召喚した守護者でもあります。
巨大な聖具を武器のようにして殴りかかってきたり、地面に打ち据えることで火柱を生じさせて攻撃してくるボスで、その体は鉄製の機械であり、レスメスはそれを「かつての我が肉体を象った檻」と表現しています。人形の腹部には、ガラス越しに人間の頭部が収納されているのが見え、おそらくはそれがレスメス本人なのでしょう。
生前は異端者として裁きを受けて処刑された殉教者であったそうで、処刑のあと、斧で切断された頭部を持ち去った少女が、廃墟となった教会の聖具室に遺棄されていた「硝子の骨壺」にレスメスの頭部を納めた、という伝承が「罰されし者」の彫像に刻まれています。
体力ゲージを削ると、レスメスの抱えた聖具の中から「眠れる赤子」という小型の人形が登場します。
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「眠れる赤子」 |
その正体は不明ですが、先の伝承を踏まえると、殉教者レスメスの頭部を持ち去った少女、またはその少女とレスメスとの象徴的な「子ども」のような存在なのかもしれません。原語の「Intanta」は幼女や女児を意味するので、少なくとも性別は女性なのでしょう。
攻略のポイント
レスメス戦は特殊な戦闘であり、全部で3回の戦闘フェーズがあります。
レスメス単体戦
まずは最初に「レスメス」との戦闘。前述の通り、巨大な聖具を武器に殴りつけてきたり、地面から火柱を噴出させる攻撃を仕掛けてきます。注意すべきは、レスメス自ら回転する聖具と一体化し、火の玉を周囲に展開させてくる攻撃です。軌道を正確に読まないと火の玉を複数被弾して大ダメージを受けてしまいます。逆にこの間も中央のレスメスにダメージは通るので、腕に自信があれば積極的に狙うのもありでしょう。ちなみにレスメスの火柱は、見た目よりも攻撃範囲が狭く、判定の持続時間も短めなので、結構ギリギリの位置でもダメージをもらいません。後述の戦闘のためにも頭の片隅に置いておくのをオススメします。
眠れる赤子単体戦
次に、レスメスの体力を削り切ると登場する「眠れる赤子」との戦闘。爆散したレスメスが遺した聖具箱から登場します。以前はこの登場モーション間も、聖具箱を攻撃することで眠れる赤子にダメージを与えることができたのですが、のちのゲームアップデートで修正され、登場するまでは眠れる赤子は無敵状態となってしまいました。
眠れる赤子は毒の刃を自身の周囲に6枚展開し、それを一つ一つ飛ばしてきたり、回転刃のようにして自分ごと突撃してくる攻撃を行います。飛ばしてくる刃には若干の追尾性能があるため、ギリギリまで引き付けたり、大きく動いて躱すのが良いでしょう。なお、飛ばして使い切った毒の刃はすぐに補充されてしまいます。毒の刃が体の周囲に浮遊していても、特にバリヤーのような効果は発揮されないので、遠慮せずに眠れる赤子を攻撃してしまいましょう。
レスメス&眠れる赤子
眠れる赤子の体力を削り切ると、最後は、レスメスと赤子が同時に悔悟者へと襲いかかってきます。個別では対処できていたレスメスと赤子の攻撃も、両者が重なることで対処の難易度が格段に上がってしまっています。隙が大きくなるので、聖歌などの使用は慎重に行ったほうが良いでしょう。
攻略のポイントとしては、やはり先の戦闘であるレスメスおよび眠れる赤子それぞれ単体との戦闘時にあまり体力を削られないことが重要です。ここで体力に余裕を作っておけると、レスメスと赤子コンビの攻略成功率を上げられます。次いで、レスメスと赤子、どちらかを集中的に狙い、さっさと倒してしまう事ができれば理想的です。レスメスも赤子も、単体での性能はそれほど脅威ではないため、なるべく早めに2対1から1対1の状態に持ち込んでしまいましょう。個人的には、レスメスよりも回避がし辛い眠れる赤子を先に倒したほうが戦いやすいですが、攻撃を当てやすい方を優先的に狙うのでも問題ないでしょう。
元ネタ関連・考察
清廉なる聖具守 レスメス
『ブラスフェマス2・アートブック』によると、清廉なる聖具守 レスメスのデザインは、キリスト教の聖遺物を保管する「聖骨箱・聖遺物箱」(Relicario)に着想を得ています。聖遺物とは、キリストや聖人に関連のあった物品、または聖人の遺体の一部(と考えられたもの)などで、それ自体が崇拝・信仰の対象にもなります。レスメスにおいては、切り落とされた彼自身の生首がある意味「聖遺物」であり、それを納めた機械仕掛けの身体が一種の「聖骨箱」でもあるのでしょう。
現代に残された聖骨箱の印象的な例として挙げられているのが、「聖王イシュトヴァーンの右手」が納められた聖骨箱です。
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「聖王イシュトヴァーンの右手」 |
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「聖王イシュトヴァーンの右手」が納められた聖骨箱 |
この聖遺物はハンガリーの首都ブダペストにある聖イシュトヴァーン大聖堂に展示されています。「聖王イシュトヴァーン」とはハンガリー初代国王「イシュトヴァーン1世 」(I. István, 975 - 1038)のことです。ハンガリーのキリスト教化に貢献し、カトリックでは列聖されています。
絢爛豪華な聖骨箱は、綺羅びやかな金細工で飾られており、それ自体があたかも小さな教会であるかのようです。透明なガラス越しに右手が見えるのは、まさにレスメスの横たえられた生首とリンクします。
その他にも、イタリアのパドヴァにある聖アントニウスの顎骨が収められた金箔と宝石で飾られた聖遺物箱や、ボローニャのコルプス・クリスティ修道院(Monastero del Corpus Domini)に展示されている聖カタリナの遺体を収めた聖遺物箱が紹介されています。
眠れる赤子
『ブラスフェマス2・アートブック』によると、「眠れる赤子」のデザインは、16-17世紀頃のスペイン宮廷ファッションの子供服にインスパイアされています。現代の子供服は成長途上の身体に合わせて機能的にデザインされていますが、バロック期にはまだ「子供時代」という概念は成熟しておらず、大人と同じように派手な見た目を重視した正装が与えられていました。
眠れる赤子の衣装デザインは、ルネサンス期の肖像画家アロンソ・サンチェス・コエーリョ (Alonso Sánchez Coello, 1531-1588)が手掛けた『幼児のドン・ディエゴとドン・フェリペ』(Los infantes Don Diego y Don Felipe)(1579)から特に大きな影響を受けています。
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『幼児のドン・ディエゴとドン・フェリペ』(1579) |
コエーリョはスペイン黄金時代を象徴するフェリペ2世の宮廷画家であり、当時の衣服デザインが忠実に絵画に落とし込まれている信頼性も高いです。現代の一般的な感覚からすれば、大人のように着飾った幼児、あるいは幼児になってしまった大人を彷彿させるようなグロテスクな感覚も想起されます。描かれている幼子は、ともにフェリペ2世の息子である「ディエゴ」(ディエゴ・フェリックス・デ・アウストリア, 1575-1582)と「フェリペ」(のちのフェリペ3世, 1578-1621)でしょう。おそらく絵画の描かれた年からすると、このときディエゴは4-5歳、フェリペは1-2歳です。
ディエゴは父であるフェリペ2世からも愛されていましたが、天然痘に罹患し、わずか7歳で夭折します。フェリペは兄ディエゴを亡くしたことで王位継承者となり、1598年に即位して黄金時代のスペイン王国を受け継ぐことになりました。この絵画に描かれている大人のように着飾った二人の幼子は、ともに王子でありながら、一方は幼いまま亡くなり、もう一方は成長し王になったというわけです。このような歴史的な背景を踏まえて絵画を見てみると、よく似た幼い兄弟だけではなく、作者の意図さえも超えた「対照的な運命」が描かれているかのようで、非常に興味深いです。
あらためてレスメスと眠れる赤子に立ち返ると、この二人も対照的な存在としてデザインされているように思います。レスメスは死してのち聖遺物と化した「過去の人生」の牢獄に固定された存在であり、眠れる赤子はこれから成長することが期待された「未来の人生」(しかし、大人のように着飾った子供のままであり成長することはない)として固定された存在なのです。レスメスと赤子は、ディエゴとフェリペのように二人一組で描かれることで、その魅力が更に引き出されるキャラクターとなっているのではないでしょうか。
登場マップ
関連キャラ
- 大牧師 ラダメス…「3つの後悔の念」を秘匿する守護者のひとり。「埋葬されし聖堂」のボス。
- 繍匠の聖女 オロスピナ…「3つの後悔の念」を秘匿する守護者のひとり。「刺繍の館」のボス。
- 罪人の父祖 エヴィテルノ…信心会の罪人たちを束ねるリーダー。
それではいつかまた、夢の向こう岸で……
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